【GW特別企画】小説「ザ・リストラ2003」 第3章「蟄居」 | ※個人の感想です。

【GW特別企画】小説「ザ・リストラ2003」 第3章「蟄居」

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第1章「開戦」
第2章「非常事態宣言」

ここまでのあらすじ:
時は2003年5月。
勤務先にてリストラの標的となってしまった、元山春樹(仮名)。
部長との面談にはノーを言い続け、
一方で周囲には「リストラ宣告されました宣言」をしまくる。
刻々と迫る、希望退職募集期限。
果たして元山の運命はいかに。

※この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません。

第3章「蟄居」

それは6月の最後の金曜日、27日でした。
出勤していつものように席についてパソコンを起動し、メールを読みます。
…ん?昨日の夕方に、部長から…
月末までに退職届が出ない場合、元山さんの処遇は7/2より自宅待機となります。
その場合、
  • 7/1までに引き継ぎを終えて下さい。
  • 貸与しているパソコンを返却して下さい。
元山、こんな状況なのに、月末に友達と旅行の予定を入れていました。
30日は休暇です。これを外すわけにはいきません。

…ここでちょっと横道にそれますね。
普通、こんな通告があったら、どう反応するか。
こんな風になると推測されます。

社員「自宅待機!?話が急すぎますよ部長!そんなに簡単に引き継ぎ済むわけないじゃないっすか!」
上司「…なら、引き継ぎの期間に余裕が持てる選択(=退職届)をしたまえ」

漏れ聞くところでは、「30日に提出が殺到した」とかいう話ですが、
この脅しに屈してしまったからではないかと勝手に思っています。
それでは本筋に戻りましょう。

元山にとって会社で過ごす6月は、もうこの日が最後でした。
「辞めない」このポリシーにのっとって、次の行動もまた自動的に始まりました。
今までに持っていた仕事の資料を次々と廃棄し、
引き出しの中身(私物)も袋につめます。
そして、迅速に周りへ連絡です。
引き継ぎが必要な人に対して
…というわけで元山は7/2より自宅待機となりますので、
7/1に引き継ぎの時間をとってください。
そう、元山の選択は「自宅待機どんとこい」だったのです。

7月1日の午後、2人の同僚と個別に引き継ぎの相談をしました。
オフィスから離れた場所にIT機器の置き場みたいな部屋があるんですが、
2人ともそっちで話をしようと言ってきました。
元山は別にオープンな場所でもかまわなかったんですが、
いろいろ立ち入った話もしたかったんでしょう。

元山の最後の仕事は、パソコンに残った自作のデータ、
その他もろもろの削除でした。
メールについてはほっときました。
どうせ、すぐにアカウントを抹消するでしょうから(事実そうだったようです)。

そして、とくに最後の挨拶もすることなく、元山はひっそりとIT部を去りました。
これから何カ月になるかわからないけど、ゆっくり休ませてもらおう…そんな気持ちで。

長い夏休みの始まりは、体調不良でした。
旅の疲れとか、今までのストレスとか、
そんなものがいろいろと重なったせいでしょうか。
初日からいきなりカゼ引きました。
1週間くらい治りませんでした。

疲れたよ…
しばらく何もしたくねぇよ…


という心の叫びだったのかも知れません。
実は7/1に帰る直前、部長からメールが来ていました。
7/7に面談をするので出社して下さい。
相手は人事部の部長代理です。
まだカゼは治りきってませんでしたが、
「まだ追い詰めるのか…」とか思いながら、7日に行ってみました。
もちろん、ICレコーダーは忘れません。
会議室に入ると、そこには明らかに社内の人ではない人がいました。
出された名刺には「キャリアカウンセラー」の文字が。
…辞める気がないっつってるのにカウンセリングかよ。
この人、

「今なら、退職金の優遇をまだしてくれるらしいよ。」
「席についても仕事がないなんて目にあうの、嫌だよねぇ?」
「これをチャンスととらえてみるのもいいんじゃないかと思うんだけど。」

などなど言ってくれます。やっと気がつきました。
「ああ、『プロ』の出番ってこれのことか。」(←遅い)
元山もその場の少しなごんだ雰囲気
(最初に経歴とか聞いてきて世間話みたいなところから入るんですね、さすがプロだ)
にのせられて、こんなことを言っていました。

「いまは首をつなぐことが最優先です。
 いずれ辞めると思いますけど、その時期は自分で選びます」

さすがに、「骨をうずめる覚悟」はありませんでしたので。
終わって帰り際、「あーあ、こんなことがこれから毎週とか続くのかな…」と思いました。
しかし…。部長から元山の自宅に電話があったのは、翌日8日のことでした。
「11日金曜日に面談がありますので、出社して下さい。」
…今度は相手が誰だとかないの?と思いましたが、
どうでもよくなっていたので日時と場所だけちゃんとメモしておきました。
この頃から、体調も戻ってきて、ちょっと行動に積極性が見えてきました。

さて運命の(?)11日がやってきました。
指定された会議室に行ってみますと、
指定された時間のはずなのに、誰もいなくて真っ暗です。
とりあえず、すでにICレコーダーは録音を始めています。
扉の近くをうろうろしていると、何やら雰囲気の怪しい2人組がやってきました。
この日の面談の相手は、本社人事部。

彼らの持ってきた話は、いままでの流れをくつがえす
(と、そのときは感じられた)ものでした。

「転籍のご提案があります。
 設備管理の子会社へ行っていただきます。
 転籍ですので、今在籍している本社の方は一旦退職という扱いになります。
 そして、子会社の方には8月より入社と」

別の選択肢もあったんですが、結局そっちは選ばなかったので書きません。

この転籍だと、勤務地は変わらないということで、迷わず選びました。
そう、「首をつなぐ」ことが第一なので。
これを拒否したらどうなるだろう…ということを考えなかったのは、
それだけ元山にも切迫感があったからでしょう。
ある意味、「人事部の術中にはまった」と言えるかも知れません。

元山がこの話を承諾したので、「では詳しいことはまた後ほど」ということで
面談は終わりとなりました。
それから、再び呼び出しをされるまでに、およそ2週間。

…人事、ちょっとほっときすぎでは?

という感じもします。
では、その間に元山が何をしていたか…というと、
自宅でパソコン使って起業とか副業の情報を集めていました。
本業があるかどうかというときに副業探しというのも変な話ですが、
もう「転籍先も長くしがみつけない」と思ってしまっているので
(これもキャリアカウンセラーの術中にはまった?)、次への備えを…と考えて。
呼び出しがあったのは24日・木曜日。
待ち望んだ「後ほど」の連絡は、こんなものでした。
28日・月曜日に(転籍先子会社の)役員面接を行います。
東京本社オフィスの方へ行って下さい。
移動の際の交通費は経費として精算できます。
IT部に請求して下さい。
「ああ、私一応まだあそこの所属だったんだ」
(別に「人事部付」みたいな扱いにはなってなかったのか…)
などと変な感心をしつつ、すぐに電車の切符を買いに行きました。

第4章につづく。
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