【GW特別企画】小説「ザ・リストラ2003」 第1章「開戦」 | ※個人の感想です。

【GW特別企画】小説「ザ・リストラ2003」 第1章「開戦」

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HDDの中に埋もれていた、未発表原稿がありました。
それは2003年に体験した「リストラ(と称される首切り)」の様子。
体験直後に書いたので、今読んでも結構生々しいです。

関係各方面に差し障りがないよう、
登場人物は私も含め仮名で、
いろいろ混ぜ込んで「小説」として公開します。

ではお約束の断り書き。

※この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません。

第1章 開戦

サラリーマン元山春樹は、とある会社でIT部にいました。
2002年度後半以降の仕事はちょっと意に沿わない点もありましたが、
まあ、居心地のいい場所でした。

2003年度との境目の頃に、会社はバタバタと給料のシステムを変えはじめました。
退職金のシステムも変えました。
もちろん、「より払わないため」ではあるのですが、
この頃にはまだ「弱っちゃうなー、また手取り減っちゃうよー」
くらいにしか思っていませんでした。

しかし…4月に入り、
「希望退職を募って1000人減らす」
という話が飛び出しました。
「希望退職っていうんだから、希望しなけりゃいいことだ。辞める気ないし」
おそらく誰もがそんなふうに思ってたんじゃないかと思います。
何せ初めてのことでしたから。

将来に見込みのある人とか、すぐ転職できるような有能な人とか、
そういう人が辞めていくんだろうと、元山もそんなふうに考えていました。

5月の半ば、希望退職に関しての面談が始まりました。
部員全員の意向を、部長が聞くことになっていました。
パソコンに向かって作業している元山の近くの通路を、
女子社員2人が、こんな会話をしながら通り過ぎました。
「どんなこと聞かれました?」
「んー、今はどんな仕事をしてますか、とかそのくらい」
へぇ~…大して重い話じゃなさそうだな。などとそのときは思っていました。

元山の番になりました。面談会場である会議室に入ります。
部長は、会社の状況が苦しいこと、希望退職というのはどういうメリットがあるか、
などなどの説明を一通りします。これは全員にしているとのことでした。
まだ元山の頭には
「希望退職っていうんだから、希望しなけりゃいいことだ。辞める気ないし」
という気持ちがありました。
しかし部長の次のせりふは、こうでした。

「元山には、
 ぜひこの希望退職制度を使ってほしいと思う」


…今書いててもよみがえります、あの瞬間のイヤな気持ち。
PTSDってやつでしょうか(そんなに大げさなもんじゃないか)。

元山には
「今何ておっしゃいました、部長…?」とか、
「『希望』を勧めるとは論理的におかしいですよ部長」
などと言い返すこともできませんでした。
なぜなら、さっきの言葉を瞬時に「元山、辞めてくれ」と解釈してしまったのですから。

元山の理性はぶっ飛びました。
別にキレたわけではありませんが、思考はストップしました。
そのあと何を言われたかは、記憶がありません。
ただ、防衛本能がこう言わせただけでした。

「………かんがえ…る、じかんを、くだ…さい………」

頭がぐらぐら揺れる感じを取りさることもできないまま、元山はオフィスに戻りました。
元山、長年の鬱病持ちです。
「鬱」のとき、大事なことが2つあります。
それは、
  • 重大な決断はしない
  • 悩みは抱えこまない
ということ。
「重大な決断はしない」とは、もちろん「今の段階で退職を選ばない」こと。
そして、「悩みは抱えこまない」とは、「他人に相談する」こと。

社内で誰かに言うのは「自分はレベルが低いから切られるらしい」
と言ってるような感じがしてイヤかも知れません。
しかし、席についてもまだ頭のぐらぐらが続いている元山に、
冷静に恥ずかしがってる余裕はありませんでした。
ほとんど自動的に、次の行動が始まりました。

第2章につづく。
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